一人で暮らす高齢者介護のためのガスコンロ選びのポイント
一人暮らしの高齢者宅のガスコンロは古いままにしてはいけません。コンロ選びのポイントは以下のとおりです。
- 2008年より古いガスコンロは躊躇なく新しい器具に買い替える
- 高齢者にはあまり使い勝手が変わらないものにする
- 安全装置の作動時間は調整できるので、消し忘れの時間設定を短めにしておく
住宅火災による出火原因第一位は「コンロ」

上のグラフを見ると住宅火災における出火原因第一位は2019年時点で依然としてコンロです。
ただし、コンロだけ2008年から急激に低くなっています。
2008年に何があったかというと、ガスコンロに安全センサーの搭載が義務付けられたのです。
こんなにわかりやすい政策効果はなかなかないのではないでしょうか。当時から出火件数が半分以下になっています。
ここで問題が明確になります。それは古いガスコンロを使い続けていると、リスクが倍以上になってしまう可能性があるということです。
特に高齢者世帯は古い設備を大事に使い続けていることも多いでしょう。
この際、安全センサー搭載の器具に交換することを検討してはいかがでしょうか。
ガスコンロかIHクッキングヒーターか
古いガスコンロを交換することを検討する際に、どうせ交換するならIHクッキングヒーターにした方がより安全になるのではないかと考えますよね。
私の場合は二つの理由で敢えてガスコンロに交換することにしました。
使い勝手が変わってしまい使われなくなるおそれがある
母は認知症を発症しており、新しいことを覚えるのはちょっと苦手です。
これまでの人生の大半を火の見えるガスコンロで家族の食事を作り続けてくれました。
今更、火の見えない電磁調理器を受け入れるのは至難の業でしょう。
使わなくなってしまっては、なんのために買い替えたのかわからなくなってしまいます。
これまでと同じ使い勝手で、かつ、安全な器具を考えると、安全装置付きのガスコンロという選択になりました。
ペースメーカーを埋め込んでいるため影響が心配

母は心原性脳梗塞を発症したときにペースメーカーの埋め込み手術をしました。
IHクッキングヒーターは電磁調理器です。
ペースメーカーへの影響が気になります。
日本不整脈デバイス工業会(JADIA)のホームページには、以下のようなIH調理器に関する留意事項があります。
IH炊飯器やIH調理器が使われているとき
日本不整脈デバイス工業会(JADIA)
IH炊飯器やIH調理器(電磁調理器)等を使うときには、ペースメーカやICDの植込み部位を近づけないでください。
・保温中のIH炊飯器には手が届く範囲内に近づかないで下さい。
・植込み部位が使用中のIH調理器に近づくような姿勢をとらないで下さい。
・めまい、ふらつき、動悸など身体に異常を感じたときは、直ちにその場を離れて下さい。
万が一にもペースメーカーに支障が生ずることがあったらと心配です。
火災リストとペースメーカーへの影響リスクを天秤にかけて考えてみて、IHクッキングヒーターは見送ることになりました。
ガスコンロの安全装置
ではガスコンロに対策されている安全装置にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
(出典:経済産業省 ガスコンロ規制について)
Siセンサーとは
Siセンサーとは、3つのS(“Safety”、“Support”、“Smile”)と一つのi(“intelligent” )だそうです。
安心、便利、楽しく、そして、賢くといったところでしょうか。

調理中の油が自然発火してしまう温度まで加熱するのを防ぐ機能です。油が自然発火する温度は約370℃です。白丸部分が温度センサーになっていて、調理油の温度が300度に達する前に作動することとされています。

吹きこぼれや風などで火が消えてしまった際、自動的にガスを止める機能です。黒丸部分が炎センサーになっていて、バーナーが消火したときから1分以内に閉弁することとされています。
その他の安全装置
消し忘れ消火機能
コンロやグリルの加熱時間が、一定時間を超過すると自動的に消火する機能です。うっかりの消し忘れを防止してくれます。私の購入した機器では消し忘れて消化するまでの時間を30分から90分で設定できました。最短時間の30分で設定しています。
鍋なし検知機能
Siセンサーコンロは、コンロに鍋が置かれていないと点火できません。点火時に鍋を外すと自動的に弱火になるため、衣類の袖口への引火防止にも役く立つとのことです。
中火点火機能
点火時に炎があふれて衣類の袖口への引火することを防止してくれます。
高温自動温度調整機能
なべの空焚きをした時に自動で焦げ付きを防止してくれる機能。母親はそれでも焦げつかせているから完全ではない。ただし、比較的焦げが取れやすいのは、やはり温度調整はされているからなのかな。
まとめ
母のガスコンロはこれです。母は買い替えたガスコンロで何度も助けられています。安全装置が作動してブザーがなって、電話がかかってきたこともあります。プラスチック製の電気湯沸かし器をガスコンロにかけてしまったこともありました。大事にならなかったのは、ガスコンロの安全装置のお陰だと思っています。一人で暮らす高齢者介護のためのガスコンロ選びの要点をまとめると以下のようになります。
- 2008年より古いガスコンロは躊躇なく新しい器具に買い替える
- 高齢者にはあまり使い勝手が変わらないものにする
- 安全装置の作動時間は調整できるので、消し忘れの時間設定を短めにしておく