徘徊対策の最終手段(門扉へのSESAMI設置)

これまでの経緯

徘徊対策の最終手段は何か

これまで玄関の扉が開いたタイミングでアレクサから徘徊を止められる工夫をしたのですが、それでも母の徘徊しようとする目的(「自分の家に帰りたい」や「居なくなった孫を探す」)を持った行動は止められませんでした。

徘徊する目的は妄想にすぎないのですが、本人にとっては一大事なのです。

どうしても物理的に止めざるを得ません。それには門扉に鍵をかけるしか方法はなさそうです。

家の周りは柵に囲まれていますから、何とか乗り越えるのは阻止できそうです。

門扉の錠前の交換

母の家の門扉は三協アルミ製の商品名「形材門扉」で、鍵は商品名「タッチ錠」の両面シリンダーが付いています。


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後付けのオートロックを取り付けるためには両側シリンダーでは対応できません。

両面シリンダーというのは、外側も内側も鍵で開閉ができるようになっている鍵です。

それに対して、外側はシリンダーですが、内側はつまみがついている鍵であれば、内側のつまみに後付けのオートロックを取り付けることが可能です。


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門扉は両開きなので取っ手は両側についているのですが、鍵のついている片側だけ交換することにしました。

三協アルミは古い門扉の取扱説明書もホームページ上から提供されていて、大変助かりました。交換の方法が購入前に把握できるのは、本当に助かります。

実際の交換も取扱説明書どおりにできてとりあえずひと段落です。

門扉へのSESAMI設置

次は、この錠前のつまみ部分につけるオートロックですが、これは以前にドア部分につけたキャンディーハウスのセサミに決めていました。

価格が低廉でWIFIでの動作も問題ありません。

問題はこのオートロックが屋外用ではないことです。

もう一つ、付け替えた錠前のつまみ部分と門扉との距離が長くて、通常のアダプターでは届かないおそれがありました。

さらに、後付けのオートロックをつけた後でも、オートロックのつまみを使えばロックの開閉ができてしまいます。

通常の用途であれば、それでよいのです。ただし、今回の目的は徘徊対策です。

「遠隔で鍵の操作はできるが手動では操作できない」ようにしないといけません。


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最初はセサミの取っ手部分を削ろうかとも思いましたが、セサミ全体を覆ってしまうことにしました。

黒い発泡スチロールでできた緩衝材があったので、これをセサミの形にくり抜いてカバーを作りました。

セサミの動作は邪魔をしてはいけないので、くり抜く大きさには工夫が必要でした。

そして、このカバーを結束バンドでセサミに取り付けました。

結論から言うと、この努力は徒労に終わりました。

門の扉が開かない上に得体の知れないカバーに覆われた鍵を怪訝に思った母が、これを取り除こうとしたからです。

カバーは一日も経たないうちに破壊され、セサミが剝き出しになってしまいました。

こうなると剥き出しになったセサミは、セサミについた取っ手で簡単に開けられてしまいます。

本来、後付けで既存のつまみにセットするために付けられものであるので、セサミ自身にもつまみがついていて当然なのです。

さらに剥き出しになったセサミに雨が降って、とうとうセサミが動かなくなってしまいました。

どうやら電池との接点が錆びて電気が導通しなくなった様子です。

セサミ取付方法の見直し

徘徊のリスクは常にあります。早く対処しなければなりません。

カバーの固定が結束バンドというのではあまりにも心許ないです。

そこで、門扉の取っ手「タッチ錠」を交換した経験から、門扉と取っ手の隙間に鉄製のカバーを滑り込ませることを思いつきました。

鉄製のカバーで門扉の取っ手ごとコの字状に覆ってしまい、その上からさらにプラスチックのカバーをネジ止めするのはどうだろうと考えました。

取っ手は湾曲していて取っ手部分に直接セサミを取り付けられないため、覆いとなるカバー部分に固定しようという工夫です。

次に材料の調達です。

ダイソーで鉄製のブックエンドを調達しました。

このブックエンドを加工し、つまみ部分が回転する丸い穴を開けます。

さらに、コの字に折り曲げてネジ止めする部分のドリル穴を2か所開けました。

ネジはステンレス製のネジで錆び対策をします。

プラスチックのカバーはセリアで売っていた小物入れです。これにもネジ穴を開けて、ブックエンドと連結しました。

ブックエンドにセサミに付属している3Mの両面テープを貼って、丸い穴からつまみが操作できるようにします。

この方法だと、セサミのサムターン受のプラスチック部品を調整しても、門扉のつまみには届きません。

ブックエンドの丸い穴の先につまみがあるため、つまみとセサミのサムターン受との間にアダプターが必要となります。

これは想定の範囲内です。塩ビのパイプを必要な長さに切って、ヒートガンを使って柔らかくしてから楕円状に潰しました。

この潰れパイプが門扉のつまみを被い、かつ、サムターン受のプラスチック部品にぴったりと収まりました。多少の遊びがあった方が良いので、セサミのプラスチック部品を調整しました。

この自作アダプターは今でも全く問題なく機能しています。

電池ボックスへの防水対策

さて、何とか門扉にセサミを取り付けることはできましたが、以前のように雨や雪などによる錆の問題が残っています。

以前は電池部分を下にしてセサミを取り付けていましたが、これでは電池ボックス内に水分が残ってしまって錆の原因となっていました。

そこで、上下を反対に取り付けることで、電池ボックスを上にして水分がボックス内に残らないようにしました。

下の部分はつまみの回転装置なので、そもそも隙間があって水分を逃がしやすくなっています。

念のために、潤滑材のシリコンスプレーを塗布しておきました。

今日まで、梅雨の長雨や雪の中でも問題なく動作しつづけています。

プラスチックのカバーが雨除けとなっていることが功を奏しているのかもしれません。

メーカーさんは屋外での動作は想定していないと思いますが、すばらしいコストパフォーマンスを発揮してくれています。ありがとうキャンディハウス。

赤錆対策

ブックエンドにホールソーで丸い穴を開けたので、切り口から錆が出てきてしまいました。

事前に塗装をしておけば良かったのですが、後の祭りです。

ネジ穴にも同様に錆が出ています。

赤錆対策として、ホルツのサビチェンジャーを使いました。

これは優秀な錆転換剤です。赤錆が黒錆に変化し、それ以上錆が進行するのを防いでくれます。


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徘徊対策としてのセサミの効果

果たして門扉のセサミは徘徊対策として機能したのかについてお話します。

これは一部の例外を除いて徘徊対策に画期的な効果を発揮しました。

例外は、どうしても外に出たかった母が、門扉がどうしても開かないことに業を煮やして、柵を乗り越えてしまったことです。

これはとんでもない事態な訳ですが、私が門扉の鍵の操作をしていて、私に依頼すればいつでも門扉の鍵を開けることができると知ってからは問題が解消しました。

外に出ようとするときには、私に電話が掛かってくるようになったのです。

当初、門扉は時間になると自動で閉まると言っていたのですが、これが問題を招いてしまったようです。

時間にならないと解決できないため、どうしても外にでようとする母は強行突破しようとしてしまったのです。

私に電話さえすれば、解決できると判ってからは一度も柵を乗り越えることはありません。

デイサービスから帰ってきて、介護士の方が夕食の用意をして家を出た後、門扉のセサミを稼働させ、徘徊防止を行っています。

時間で自動に稼働させることもできますが、イレギュラーな事態が起こると家に入れない(あるいは家から出れない)ことになってしまうので、毎回私がカメラで確認した上でセサミを動作させています。

これまで何度も徘徊しようとする母を説得して徘徊を思いとどまらせています。

門の外に出られてしまってからではどうしようもないので、門が開いていないために私に電話が来て、そこで説得できるという徘徊対策の対応が確立できたことは本当に大きなことです。